「理学療法士の給料は安いの？」
「理学療法士の給料が安い理由は？」
「理学療法士の給料をあげるには？」
理学療法士の給料安いですよね。
ほとんどの理学療法士が思っています。
こんなに勉強して国家資格とって、資格とった後も勉強して、給料これだけ？
一生懸命頑張っている人ほどそう思うでしょう。
しかし、理学療法士の年収は本当に上がらないのでしょうか？
安い安い言ってるけど、理学療法士でもある程度稼いでいる人はいます。
この記事では理学療法士の給料が安い理由、そして理学療法士の給料を上げる方法を解説します。
この記事からわかること
- 理学療法士の給料が安い理由
- 理学療法士の給料を上げる方法
- 理学療法士の給料が高い職域
理学療法士の給料は安い？
理学療法士の平均年収 は約430万円
厚生労働省が発表している令和4年賃金構造基本統計調査では、理学療法士（作業療法士、言語聴覚士、視能訓練士含む）の2022年平均年収は430.6万円です（残業代やボーナス含む）。
| 年齢 | 平均年収 |
|---|---|
| 20 〜 24 歳 | 335.78 万円 |
| 25 〜 29 歳 | 392.04 万円 |
| 30 〜 34 歳 | 421.41 万円 |
| 35 〜 39 歳 | 455.49 万円 |
| 40 〜 44 歳 | 497.58 万円 |
| 45 〜 49 歳 | 517.99 万円 |
| 50 〜 54 歳 | 515.04 万円 |
| 55 〜 59 歳 | 570.18 万円 |
＊平均年収の計算方法は「きまって支給する現金給与額」×12ヶ月+「年間賞与 その他特別給与額」
出典：令和4年賃金構造基本統計調査｜厚生労働省
年代別に見ると、20代前半が約335万円で年齢が上がるごとに増えていき、50代後半で約570万円となります。
年齢が上がるにつれて年収が多くなるのは良いことですが、定年まで勤めて平均年収が600万円に届かないのが現実です。
しかし、理学療法士が年収600万円稼げないわけではありません。
＞＞理学療法士が年収600万稼げる職域はこちら「理学療法士で年収600万円は可能？稼ぎ方から職域まで解説！」
理学療法士の給料は一般平均と比較して安い
| 一般平均（民間事業所） | 理学療法士の平均 |
|---|---|
| 443 万円 | 430.6 万円 |
出典：令和3年分民間給与実態調査｜国税庁
出典：令和4年賃金構造基本統計調査｜厚生労働省
理学療法士の給料は一般平均と比較して安いです。
国税庁の令和3年分民間給与実態調査では一般的な民間企業などの年収は443万円と報告しています。
理学療法士の平均給与である約430万円と比較すると、一般的な平均年収の方が高くなります。
理学療法士は国家資格なのに…悲しい現実です。
理学療法士の給料は医療職種の中でも安い
| 職種 | 平均年収 |
|---|---|
| 薬剤師 | 583.39 万円 |
| 看護師 | 508.13 万円 |
| 診療放射線技師 | 543.74 万円 |
| 臨床検査技師 | 508.92 万円 |
| 理学療法士 | 430.60 万円 |
＊平均年収の計算方法は「きまって支給する現金給与額」×12ヶ月+「年間賞与 その他特別給与額」
出典：令和4年賃金構造基本統計調査｜厚生労働省
理学療法士の給料は医療職の中でも安いです。
医療職種別の平均年収では理学療法士がダントツの低年収です。
理学療法士以外の医療職種の平均年収は500万円以上なのに対して、理学療法士だけ400万円前半。
理学療法士は医療職種の中でも給料が安い仕事と言えるでしょう。
理学療法士の給料が安い理由
理学療法士の給料がなぜ安いのかを解説します。
給料が安い理由
- 昇給が少ない
- 理学療法士の数が増えている
- 理学療法士が稼ぐ収益に限界がある
- スキルや経験が収益に反映する仕組みがない
昇給が少ない
理学療法士の給料が少ない原因に昇給しないのがあります。
日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会の3団体が2023年に行った「医療機関における賃金引き上げの状況に対する調査」では、医師、看護師以外の職員の定期昇給は3600円でした。
国立病院や公立病院や施設であれば公務員のため決められた額の昇給が行われますが、民間では3000円前後が多い印象です。
場所によっては500円や昇給なしの職場もあります。
昇給しないから給料が安いままです。
理学療法士の初任給は一般的な大卒で企業に就職した人や公務員と比べて大差ありません。
しかし、理学療法士は昇給が少なく30代、40代となるうちに周りとドンドン差がついていきます。
理学療法士の数が増えている
＊供給推計：全体の平均勤務時間と性年齢階級別の勤務時間の比（仕事率）を考慮して推計
＊需要推計：ケース1「時間外労働時間：年間0時間、1年あたり有給休暇追加取得日数：20日、入院医療（精神病症）外来医療：上位」、ケース2「時間外労働時間：年間360時間、1年あたり有給休暇追加取得日数：5日、入院医療（精神病症）外来医療：中位」、ケース3「時間外労働時間：年間720時間、1年あたり有給休暇追加取得日数：5日、入院医療（精神病症）外来医療：下位」について推計
出典：理学療法士・作業療法士の需給推計について｜厚生労働省
理学療法士は現在、毎年約10000万人ずつ増えています。
理学療法士は養成校の増加により爆発的に人数が増えており、2012年は約10万人だった理学療法士の人数が、2023年には21万人を超えています。
約10年で倍以上に増加しています。
厚生労働省が2019年に発表した「理学療法士・作業療法士の需給推計について」では、2026年〜2027年ごろに需要に対して理学療法士の数が上回ると予想しています。
理学療法士は飽和状態となっており、今後あまることが予想されています。
理学療法士の数が多くなり、給料を高くしなくても働いてくくれる人が増えるため、必然的に給料は安くなります。
理学療法士が稼ぐ収益に限界がある
| 心大血管 | 脳血管 | 運動器 | 廃用症候群 | 呼吸器 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 標準算定日数 | 150日 | 180日 | 150日 | 120日 | 90日 |
| 施設基準 Ⅰ | 205 点 | 245 点 | 185 点 | 180 点 | 175 点 |
| 施設基準 Ⅱ | 125 点 | 200 点 | 170 点 | 146 点 | 85 点 |
| 施設基準 Ⅲ | ー | 100 点 | 85 点 | 77 点 | ー |
※令和4年度診療報酬改定の概要 個別改定事項Ⅲ（厚生労働省保健局医療課）を参考に作成
理学療法士が稼ぐ収益には限界があります。
医療保険や介護保険でのリハビリテーションの算定（値段）は、診療報酬や介護報酬という形で国が決めています。
また、理学療法士が算定できる（リハビリを行える）数も決められており、1日24単位、1週間で108単位までとなっています。
理学療法士はサービスを提供する値段と最大量を国に決められています。
このため、理学療法士はたくさん稼ぎたくても稼げない構造になっています。
スキルや経験が収益に反映する仕組みがない
理学療法士は経験やスキルが収益に反映する仕組みはありません。
前項でも説明したように理学療法士が提供するサービスの値段は国で決められています。
また、理学療法士が算定できる（リハビリを行える）数も決められており、1日24単位、1週間で108単位までとなっています。
このため、理学療法士という国家資格を持っていればスキルや経験がなくても、他の理学療法士と同様に稼ぐことができます。
20年目の理学療法士も1年目の理学療法士も値段は一緒であり、稼げる額も同じになります。
稼ぐ額が同じなら、経験年数が上がっても給料は上げたくないと思う経営者が出てきます。
理学療法士が給料を上げる6つの方法
理学療法士が給料を上げる方法を紹介します。
理学療法士の給料を上げる方法
- 管理職を目指す
- 年収の高い職場や職域に転職する
- 起業や開業をする
- 副業をする
- 関連資格を取得する
- 他職種へ転職する
管理職を目指す
理学療法士が給料を上げるなら管理職を目指しましょう。
病院や施設でも、管理職であればある程度の年収が期待できます。
そのためには
- 管理職のポストが空いているか
- 管理職のポストがこれから空きそうか
- 新しく管理職のポストができそうか
などを確認するようにしましょう。
組織に大きく貢献してもポストがなければ管理職にはなれないため注意しましょう。
年収の高い職場や職域に転職する
理学療法士の給料を上げたければ、年収の高い職場や職域に転職しましょう。
理学療法士の給料は平均的には安いですが、給料が高い職場や職域も存在します。
特に訪問リハビリなどはまだ人手も足りないため、条件次第では年収600万円も可能です。
他にもやり方や次第では理学療法士でも年収600万円稼ぐことはできます。
＞＞理学療法士が年収600万稼げる職域はこちら「理学療法士で年収600万円は可能？稼ぎ方から職域まで解説！」
起業や開業をする
理学療法士の年収を上げたい場合は起業や開業をしましょう。
起業や開業をして経営者になることで、理学療法士でも年収を上げることは可能です。
経営の規模により年収に上限はなく、理学療法士では稼げない額を稼ぐことができます。
しかし、起業や開業はリスクもあります。
事業として成り立たなければ、年収が増えるどころか赤字になることも十分あります。
副業をする
副業をすることで理学療法士の年収を上げられます。
空いている時間で副業をして、本業の年収と組み合わせることで収入を上げることができます。
理学療法士が行う副業は以下の3パターンがあります。
- 理学療法士として非常勤で働く
- 理学療法士の能力を活かした仕事をする
- 理学療法士とは関係のない仕事をする
理学療法士として非常勤で働くこともできますし、理学療法士以外の副業を行っている人もいます。
デメリットはプライベートな時間が減ることです。
副業をするということは、本業にプラスしてさらに働くということです。
働く時間は多くなることは覚えておきましょう。
＞＞理学療法士の副業が知りたい方は「理学療法士にオススメな副業を紹介！メリットや注意点も解説！」で解説しています。
関連資格を取得する
| 資格名 | 種類 |
|---|---|
| はり師（鍼灸師） | 国家資格 |
| きゅう師（鍼灸師） | 国家資格 |
| 柔道整復師 | 国家資格 |
| あんまマッサージ指圧師 | 国家資格 |
| アスレチックトレーナー | 民間資格（2つあり） |
| ヨガインストラクター | 民間資格（多数あり） |
| ピラティスインストラクター | 民間資格（多数あり） |
関連資格を取得することで理学療法士の年収を上げることにつながります。
関連資格を取得することで
- 独立やフリーランスとして働く
- 資格を掛け合わせることにより専門性と希少性が高まる
- 資格による手当が増える
などが期待できます。
鍼灸師や柔道整復師は開業権があるため自分でお店を出すことが可能です。
他職種へ転職
他職種へ転職することで理学療法士の年収を上げられます。
他の業界では理学療法士よりも年収が多い業界がたくさんあります。
年収の高い業界に転職すれば、年収が上がるでしょう。
しかし、他業界に転職するにはなるべく早いほうがいいです。
未経験で30代では就職先が見つからない業界の方が多いでしょう。
他職種への転職ならなるべく早くが鉄則です。
理学療法士の給料が高い職域
給料が高い職域
- 訪問リハビリ
- 大規模病院
- 公立病院
- 教員
訪問リハビリ
訪問リハビリは理学療法士の職域の中で給料相場が高くなります。
特に訪問看護ステーションでは人手が足りていなかったり、インセンティブ制度があったりで病院や施設よりも充実した給料がもらえる傾向にあります。
病院や施設に併設している訪問リハビリステーションの場合は病院や施設のスタッフと同等の待遇になることもあるので注意！
最近では新卒からでも募集をしている訪問看護ステーションが増えており、年齢が若くても高収入が狙える職域になっています。
＞＞訪問リハビリの給料が高い理由はこちら「訪問リハビリが給料高いのはなぜ？理由から注意点まで解説！」
大規模病院
大規模病院では理学療法士の給料が比較的に高いところが多いです。
大学病院などの大規模な病院では、職歴が浅いうちは給料が低いですが一般病院に比べ昇給率も良いことが多く、長く勤めるなら一般的な理学療法士よりも収入が高くなります。
病院によっては一定の年数で公務員の給料を基準に調整するところもあり、公務員に近い年収となる病院もあります。
公立病院
公立病院では一般の理学療法士より給料が良くなります。
公立病院で働く理学療法士は公務員またはみなし公務員となります。
公務員は勤務年数が若いうちは給料が安いですが、昇給率は安定しており着実に年収が上がっていきます。
他にも公務員として働くメリットは以下の記事で解説しています。
＞＞公務員理学療法士についてはこちら「理学療法士が公務員として働くメリット！求人の探し方から注意点まで解説！」
教員
理学療法士養成校の教員は一般の理学療法士より年収が高くなります。
理学療法士養成校の教員の数は限られていますが、養成校が増えたことにより教員の数も増えています。
大学の教授などでは博士課程の修了などハードルが高いですが、それに見合った年収が見込めます。
年収の上限は一般的な理学療法士より高く、大学の教授では年収1000万円稼いでいる人もいます。
他にも理学療法士で年収1000万円稼ぐ職域は、以下の記事で解説しています。
＞＞理学療法士が年収1000万円稼ぐ方法はこちら「理学療法士で年収1000万円は難しい？目指す方法を解説！」
【まとめ】理学療法士はやり方次第では給料を増やすことが可能！
この記事のまとめ
- 理学療法士は一般平均と比べても給料が安い
- 理学療法士でも給料が高い職場や職域がある
- 年収を上げるには給料が高い職場や職域で働こう
理学療法士の給料は一般平均と比べても下回っています。
医療職種の中ではダントツに年収の低い職種です。
理学療法士の年収が低いのは事実。
しかし、職場や職域によっては年収500万円〜600万円となる職場もたくさんあります。
同じような仕事でも職場によって年収が大きく変わることも多々あるため、給料を上げたい人は一度、求人情報を集めて見ると良いでしょう。
最後までご覧いただきありがとうございました。
求人情報を集めるなら転職サイトの利用が効率的です。
よくある質問
理学療法士の給料が安い理由は？
理学療法士の給料は以下の理由で安くなります。
- 昇給が少ない
- 理学療法士の数が増えている
- 収益に限界がある
- スキルや経験が収益に反省しない
理学療法士で給料が高い職域は？
以下の職域の理学療法士は給料が高い傾向にあります。
- 訪問リハビリ
- 大規模病院
- 公立病院
- 教員
理学療法士の給料はどれぐらいまで上がりますか？
理学療法士の年収は平均で見ると、50代で約570万円まで上がっています。しかし、職域や働き方次第では20代でも年収600万円を狙うことができます。
＞＞理学療法士で年収600万円到達する手順はこちら「理学療法士でも年収600万円に到達する方法」