- 理学療法士は離職率が高い?
- 離職はしない方が良いの?
- どんな理由で離職するの?
雇用の安定性や職場環境の良さを示す指標の一つとして、離職率があります。
離職率が高いということは、辞める人が多いということです。
離職率は適切に扱うことで、職場環境の良い転職先を見つける指標として使えます。
気にしていないと職場環境の悪い職場に就職したり、自分がはたらいている環境が悪いことに気づかないかもしれません…
この記事では、離職率や計算方法から理学療法士の離職率、離職の理由や職場選びのポイントまで詳しく解説しています。
この記事からわかること
- 理学療法士の離職率と他領域との比較
- 離職するときに考えるべきこと
- 理学療法士の離職理由
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離職率とは?
離職率とは、ある期間内に退職した従業員数を全従業員数で割った値です。
労働市場の状況や職場環境の良さを示す指標として使用されています。
労働者がどれぐらいの頻度で離職しているかを示しています。
信頼できる機関が出しているデータとして、厚生労働省が定期的に雇用統計を発表しています。
これらのデータを参考に理学療法士の離職率が、他職種や全産業平均と比較して高いか低いかを評価することができます。
離職率の計算方法
離職率は、ある期間内に退職した従業員数を全従業員数で割り、その値に100をかけたものです。
離職率 = (退職した従業員数 / 全従業員数) x 100
例えば、病院Aの理学療法士が50人いて、1年間で5人が退職した場合、離職率は以下のように計算されます。
病院Aでの理学療法士の離職率 = (5 / 50) x 100 = 10%
この計算式は、労働者がどれぐらいの頻度でを離職するかを示すため、労働市場の流動性や雇用安定度を評価する際に重要な指標とされています。
従業員数が少ない職場では、離職率が高く出ることがあります。
離職率から分かること
離職率は、労働市場の流動性や企業の雇用安定度を示す指標です。
そのため、高い離職率は労働者の不安定な雇用状況を示すことがある一方で、低い離職率は雇用の安定を示すことがあります。
あくまで離職率からは雇用の安定度(一年間でどれぐらい人が辞めたか)がわかるだけであり、その職場が良い職場かどうかをこれだけで判断することはできません。
離職率が低くてもブラックな職場や離職率が高くてもホワイトな職場はあります。
ひとつの指標として慎重に扱いましょう。
理学療法士の離職率
厚生労働省が平成28年に行った「医療従事者の需給に関する検討会 理学療法士・作業療法士分科会(第2回)」の資料(理学療法士を取り巻く状況について)によると、理学療法士の平均離職率は医療機関で10.2%、介護福祉領域で18.8%でした。
医療機関に比べ、介護福祉領域で離職率が高い結果となっています。
例えば、理学療法士が100名いる施設なら、医療機関であれば年間約10人、介護福祉領域の施設であれば年間約18人が辞めている計算になります。
毎年これだけ辞めてしまうと、採用も大変そうです。
この資料は2013年〜2015年の3年間を調査したものなので、現在では変化も出ている可能性があります。
領域別に見る理学療法士の離職率
領域別の離職率は高度急性期病院の離職率が6.8%で一番低く、訪問リハビリの離職率が37.4%で一番高くなっています。
訪問リハビリはサンプル数が極端に少ないので参考程度に見ておきましょう。
医療機関の中では高度急性期病院の離職率が6.8%で一番低く、慢性期が12.6%で一番高くなっています。
急性期の方が離職率が下がるのはやりがいや収入面での安定があるのかもしれません。
介護福祉領域では特別養護老人ホームが9%と一番低く、訪問リハビリが37.4%と一番高くなる結果となりました。
多くの介護福祉領域では20%前後の離職率であり、毎年約5人に1人が辞めていることになります。
他職種との離職率の比較
理学療法士の離職率は、日本全体や医療・福祉産業に比べて医療機関では低く、社会福祉領域では高い傾向にあります。
厚生労働省の「令和3年雇用動向調査」によると医療・福祉産業の離職率は13.5%となっています(平成28年雇用動向調査では14.8%)。
理学療法士の離職率は医療機関で10.2%、社会福祉領域で18.8%なので、社会福祉領域の理学療法士は医療・福祉産業全体に比べ離職率が高いです。
また、日本全体での離職率は厚生労働省の「令和3年雇用動向調査」によると13.9%となっています(平成28年雇用動向調査では15.0%)。
日本全体と比較しても、社会福祉領域の理学療法士は離職率が高いです。
逆に医療機関では離職率が低くなっています。
理学療法士の離職率は、医療・福祉産業や日本全体に比べて医療機関では低く、社会福祉領域では高い傾向にあります。
理学療法士の平均勤続年数は6.2年
理学療法士の平均勤続年数は6.2年であり、他の医療職と比較してやや短い傾向があります。
厚生労働省が公表している「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・視能訓練士の平均勤続年数は6.2年でとなっています。
これは、看護師の平均勤続年数(7.8年)や薬剤師の平均勤続年数(7.2年)、医療業全体の平均勤続年数(9.5年)と比較して短い年数です。
免許取得者の平均年数が低いため勤続年数が低くなりますが、平均すると同じ職場ではたらくのは6年程度ということになります。
理学療法士の離職の理由
理学療法士の離職にはポジティブなものからネガティブなものまでさまざまです。
いろいろな離職の理由を把握しておくことで、自己分析や離職を考えるときに役立ちます。
離職の理由
- 仕事の負担やストレスにため
- 給与や待遇面での不満のため
- キャリアアップまたはやりたいことのため
- 人間関係の問題のため
- 家庭と仕事を両立するため
仕事の負担やストレスのため
仕事の負担やストレスが理学療法士の離職の理由の一つとなっています。
理学療法士の業務は、人の身体を扱うため精神的・身体的な負担が大きくなります。
また、サービス残業や自主的な勉強会や研修会があたりまえとなっている職場もあり、過労によるストレスも離職の理由となることがあります。
精神的・身体的ストレスが強かったり、過労や長時間労働が続く職場では、離職のリスクが高まることがあります。
給与や待遇面の不満のため
給与や待遇面の不満も離職の理由となります。
理学療法士の給与や待遇は職場により偏りがあるため、同じような仕事でも、大きく変わってしまいます。
例えば、病院勤務の理学療法士同士でも職場が違えば50万程度年収に差が出ることもあります。
給与や待遇は自分の能力と言うよりも選んだ職場に左右されます。
自分のスキルや経験に見合った給与や待遇が得られないと感じる職場では、離職を検討する理由となります。
キャリアアップのため
キャリアアップ又はやりたいことを追求するために、離職を選択する理学療法士もいます。
理学療法士は専門性の高い職種であり、キャリアアップを目指すために研究や専門分野への転向を選択することがあります。
また、新たなやりたいことに挑戦するために離職を決意することもあります。
私の知り合いでも、研究や起業のために離職し、キャリアアップしている人がいます。
自己成長やキャリア形成のための選択肢として、離職が選ぶこともあります。
人間関係の問題のため
人間関係の問題が理学療法士の離職の理由となります。
職場の人間関係がうまくいかない場合や、上司や同僚とのトラブルが原因でストレスを感じ、離職を考えることになります。
ささいなものまで考えると、離職したとしても人間関係の問題をゼロにすることはできませんが、心身の健康に悪影響を及ぼす場合は、その関係性を断ち切る必要があります。
そのため、離職という選択が最善となる場合もあります。
心身に不調が出る場合は、無理せずにその職場から離れるようにしましょう。
職場環境が心身の健康に悪影響を及ぼす場合、離職を選択することがあります。
家庭と仕事を両立するため
家庭と仕事の両立のために離職を選択されることがあります。
結婚や子育て、介護などライフステージによって、仕事にあてられる時間は変わってきます。
自分の人生の中でその時々により、仕事やプライベートの比重は変わるものです。
特に子育てや介護などの家庭の事情がある場合、仕事と家庭のバランスを考慮して離職を選択することがあります。
共働きが多くなり、ライフステージによってはたらき方を変える人が多くなっています。
家庭の事情やライフスタイルを考慮し、仕事とのバランスを取るために離職が選ばれることがあります。
離職はしない方が良い?
離職をした方が良いか、しない方が良いかは個人の状況や目的、転職市場の状況によって変わります。
離職のメリット・デメリットやポイントを参考にして、離職すべきかを検討しましょう。
離職のメリットとデメリット
離職にはメリット・デメリットがあり、個人の状況や目的に応じて慎重に判断する必要があります。
離職のメリットとして「新たな環境でスキルアップやキャリアチェンジができる」 「待遇や働く環境が改善される可能性がある」「ストレスや過労から解放される」などがあります。
離職することで得られるものは沢山あります。
離職のデメリットは「再就職が難しい場合がある」「新たな職場での人間関係や業務に慣れるまでに時間がかかる」「一度離職すると経歴にブランクができる」などがあげられます。
離職にはメリットもデメリットもあるため、状況や目的に応じてよく考え、適切な選択をすることが重要です。
離職を考えるときのポイント
離職を考えるときには、自身の目標や状況を考慮し、将来の見通しを明確にすることが大事です。
なぜなら、冷静な状況分析や的確なキャリアプランのもとに離職すべきかを判断することが、離職に失敗しないために大切なことだからです。
例えば、「自分の目標や価値観と現在の仕事が合っているか評価する」「転職後の市場価値や再就職の見通しをリサーチする」 「家庭やライフスタイルの変化を考慮する」など自分の状況に合わせた情報収集や分析を行いましょう。
自分にとって最適な選択であるかよく考えて、離職を検討しましょう。
離職しない選択肢
離職を選択する前に、職場改善や内部異動といった選択肢を検討することも重要です。
職場環境の改善や問題解決が可能な場合、離職しなくても働きやすくなることがあります。
また、内部異動により、新たな業務や人間関係が変わり、問題となっていた部分が解決することがあります。
離職をする前にこのような解決策がないかを模索しましょう。
離職しないで希望通りにはたらけるなら、それが良いでしょう。
離職したらどうなるのか?
離職後の状況は人によりさまざまです。
離職後の状況
- 理学療法士として再就職する
- 理学療法士以外の仕事に就職する
- 子育てや介護などを行う
- はたらかないでしばらくリフレッシュできる時間を作る
多くの人は理学療法士として転職します。
しかし、中には理学療法士以外の一般職や専門的な職業に転職する人も多くなっています。
また、リフレッシュしたり、自分を見つめなおすために仕事をせずにしばらくゆっくりする人もいます。
転職市場の現状と見通し
理学療法士の転職市場は以前より活発になっています。
特に都心部では社会福祉領域での求人数の増大や自費でのリハビリテーションサービスなどの職域拡大により、活躍の場所は広がっています。
私の周りでも人手不足のところが多いです。
理学療法士は飽和状態になると言われていますが、実際に都心部ではたらいている印象では、まだまだ人手が足りていないように思います。
求人数などの求人情報は転職サイトや転職エージェントで見ることができます。
離職後の再就職の方法
離職後の再就職にはいろいろな方法があるため自分に合った進め方をしましょう。
離職後の再就職の方法
- 転職エージェントを利用する
- 転職サイトやSNSなどを使い自分で情報収集する
- 知人の紹介により就職する
転職活動にあまり時間をとれない人は、転職エージェントを利用するのがオススメです。
求人情報の紹介から転職先との交渉まで行ってくれます。
自分に合った方法を活用して、効率的に再就職を目指しましょう。
離職がキャリアに与える影響
離職はキャリアにプラスにもマイナスにもなり得るため、個々の状況によって慎重な判断が必要です。
例えば、離職をすることで新しいスキルを習得したり、キャリアアップが期待できる場合があります。
一方で、頻繁な離職や離職理由が不明瞭な場合、評価が下がる可能性があります。
自分のキャリアプランや将来の展望を考えながら、離職を検討しましょう。
離職率が高い職場を避ける方法
離職率が高い職場を避ける方法を解説します。
離職率が高い職場を避ける方法
- 離職率が高い職場の特徴
- 面接や施設見学で見るポイント
- 転職エージェントの活用
離職率が高い職場の特徴
離職率が高い職場には一定の特徴を認めることがあります。
以下のような特徴がある職場は離職率が高い傾向があります。
離職率が高い職場の特徴
- 労働環境が悪い
- 給与や待遇面が悪い
- キャリアアップが難しい
- 人間関係に問題がある
これらの特徴が見られたら注意しましょう。
面接や施設見学で見るポイント
離職率が高い職場を選ばないためにも、面接や施設見学で情報収集をしましょう。
面接や施設見学でのポイント
- 給与
- 休日の数や有給の取りやすさ
- スタッフの様子や雰囲気
- スタッフの患者さんへの対応
- 施設の清潔さ
- キャリアアップへの支援体制
面接や職場見学では、働く環境や職場の雰囲気、給与や待遇面、キャリアアップの支援体制、スタッフ同士の人間関係をチェックしましょう。
気になるところは必ず確認するようにしましょう。
>>理学療法士の面接対策についてはこちら「【質問例と回答例】理学療法士の面接のポイントと対策」
>>理学療法士の施設見学について知りたい方は「【質問・マナー・ポイント】理学療法士の施設見学」で詳しく解説しています。
転職エージェントの活用
転職エージェントを活用することで、自分に合った職場や離職率の低い職場の求人情報を見つけることができます。
なぜなら、転職エージェントを利用すれば、応募先の離職率を確認することができるからです。
そのほかにも、自分では聞きづらいことを確認してくれます。
また、転職エージェントは求人情報や職場環境に関する詳細な情報を持っており、自分の希望や条件に合った求人を紹介してくれます。
条件交渉や面接対策、履歴書の添削などの転職活動に必要なサポートも行ってくれます。
また、面接対策や履歴書の添削など、転職活動のサポートも行ってくれるため、より適切な選択ができます。
はたらきやすい職場を見つけるには、転職エージェントの利用がオススメです。
>>理学療法士の転職サイトはこちら「【2023年】理学療法士におすすめの人気転職サイトランキング19選【徹底比較】」
長期的にはたらける職場の見つけ方
長期的にはたらける職場の見つけ方を解説します。
ポイント
- 職場の条件を明確にする
- 福利厚生や教育・研修制度の確認
- 理念や経営方針の把握
- 長くはたらいている人がいるか
職場の条件を明確にする
自分に合った職場の条件を明確にすることで、長期的にはたらける職場を見つけられる可能性が高まります。
長期的にはたらける職場を見つけるには、今の自分にとってはたらきやすさとはどんな条件かを理解することが大切です。
給与や勤務時間、自分のスキルをいかせる環境、コミュニケーションがスムーズな環境など重視する条件は人それぞれです。
また、ライフステージによっても変わってきます。
そのとき大事にすべきものを明確にすることで、長期的にはたらける職場を選びやすくなります。
自分がどんな条件を重視するのかを理解し、それを基準に職場選びを行いましょう。
福利厚生や教育・研修制度の確認
福利厚生や教育・研修制度が整っている職場は、長期的にはたらきやすいことが多いです。
福利厚生は職場がスタッフのために行うサービスであり、これらが充実している職場はスタッフのことを大事にしている傾向にあります。
また、教育・研修制度が整っている職場は理念や目指すべき方向性が明確であり、スタッフの教育が行き届いており、成長するには良い環境となります。
転職活動時には、これらの条件を確認し、自分にとって働きやすい環境を見つけましょう。
理念や経営方針の把握
理念や経営方針に合った職場を選ぶことで、長期的にはたらくことができる可能性が高まります。
理念や経営方針は、はたらく上での価値観やはたらき方の基盤となります。
スタッフが理念や経営方針に共感してはたらいている職場は、スタッフのモチベーションも高く、はたらきやすい職場であることが多いです。
転職活動時には、理念や経営方針を把握し、自分に合った職場を見つけましょう。
長くはたらいている人がいるか
長くはたらいている人が多い職場は、はたらきやすさや安定性があると考えられます。
長くはたらいている人が多い職場は、スタッフが働きやすい環境や安定した経営であることが多いです。
また、そのような職場では、先輩や上司からのサポートや教育環境が充実しています。
長くはたらいている人が多い場合は、長くはたらける理由があります。
長くはたらいている人が多い職場は、はたらきやすい環境が整っていると考えられるため、転職活動時には考慮しておきましょう。
【まとめ】介護福祉領域の理学療法士の離職率は平均より高い
この記事のまとめ
- 介護福祉領域の理学療法士の離職率は平均より高い
- 離職するときは自分の状況に合わせて、メリット・デメリットを比較検討する
- 離職の理由はポジティブなものからネガティブなものまで色々ある
理学療法士の離職率は医療機関で10.2%、介護福祉領域で18.8%となっています。
介護福祉領域の理学療法士の離職率は日本の平均離職率よりも高く、辞めやすい状態になっています。
日本の平均よりも辞める人が多くなっています。
離職にはさまざまな理由があります。
離職の理由
- 仕事の負担やストレスにため
- 給与や待遇面での不満のため
- キャリアアップまたはやりたいことのため
- 人間関係の問題のため
- 家庭と仕事を両立するため
また、離職を考える際には自分の状況に合わせ、メリットとデメリットを比較検討することが大切です。
転職を決意した場合は、転職エージェントや面接・施設見学などで情報収集を行い、離職率が高い職場を避けるようにしましょう。
最後までご覧いただきありがとうございました。
よくある質問
離職率とは何ですか?
離職率とは、一定期間内に離職した従業員の数を全従業員数で割ったものです。
職場の離職状況を示す指標となります。
理学療法士の平均勤続年数はどれくらいですか?
厚生労働省が公表している「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・視能訓練士の平均勤続年数は6.2年でとなっています。
理学療法士が離職する主な理由は何ですか?
主な理由は、仕事の負担やストレス、給与や待遇面の不満、キャリアアップややりたいことの追求、人間関係の問題、家庭と仕事の両立などがあげられます。
離職率が高い職場を避けるために、面接や施設見学でチェックすべきポイントは何ですか?
給与、休日の数や有給の取りやすさ、スタッフの様子や雰囲気、スタッフの患者さんへの対応、施設の清潔さ、キャリアアップへの支援体制などです。
長期的に働ける職場を見つける方法は何ですか?
自分に合った職場の条件を明確にし、福利厚生や教育・研修制度を確認、理念や経営方針を把握し、長く働いている人の存在やその理由を考慮することが効果的です。